生前贈与・遺言書作成
生前贈与について
生前贈与って?
生前贈与とは、自分が死ぬ前に、相続人となるであろう人に財産をあげる(贈与する)ことを言います。
主に相続税対策として行われます。
具体的な相続税対策
私は税理士ではなく節税の専門家ではないので、以下ではおおまかな説明をするに留めます。
連年贈与
連年贈与とは、贈与税の基礎控除額たる110万円/年の範囲内で財産を毎年贈与するものです。
理論的には贈与税は一切かからないはずですが、「贈与総額分をもらえるという権利」を1回でもらったんだろ!として課税されるおそれがあります。
そこで、毎回贈与契約書を作る、毎年違う時期に違う額を贈与する、110万円を少しだけ超過した財産を贈与してあえて納税し税務署に贈与の証拠を残す、といった対策が必要となります。
配偶者控除
配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上などのいくつかの要件を満たせば、居住用財産(又はその取得資金)につき、2,000万円まで贈与税が控除されるものです。
一般に、土地だけでなく建物も含めて持分を贈与した方が節税効果は大きいようです。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、65歳以上の親が20歳以上の子に対してする贈与につき、2,500万円までは贈与税を課さず、相続時にその贈与分を相続財産の一部とみなして課税しようとする制度です。
ですので、たとえ贈与時には非課税でも相続時に相続税が課税されるおそれがありますから、利用には注意が必要です。
遺言書について
遺言する必要のある人
遺言書は自分の命を懸けたラブレターです。
具体的に以下のような方はこのラブレターを書くべきだと思います。
- 子供のいない方
- 前妻との間にできた子供がいる方
- 内縁の配偶者がいる方
- 相続人のいない方
- 相続人に行方不明者がいる方
遺言なんてお金持ちがするもの、自分には関係ないと思っていませんか!?
経験上、遺産相続でモメるかどうかは遺産の多寡に関係ありません。
事実、遺産争いで調停にまで発展したケースの実に75%は、5,000万円以下の資産をめぐるものなのです(平成22年)。
個人的に、遺産相続でモメるかどうかは、亡くなられた方を取り巻いていた家族関係・状況によるところが大きいと思います。
厳しい言い方ですが「死人に口なし」であり、亡くなられた方が遺言を残さなかったために、無用な「争族」となるケースが多いのです。
実際、ここ数十年の家族関係・状況の変化に伴い、遺産分割調停事件数は7,047件(平成元年)から10,741件(平成21年)と20年で約5割増加し、後述する公正証書遺言数に至っては40,935件(平成元年)から77,878件(平成21年)と20年で約9割も増加しています。
遺産争いで調停にまで発展するのはかなりキツいモメかたをしている場合です。
そこまでは至らないケースを含めれば相当な数の遺産争いが勃発していると考えられます。
そこで、モメる可能性が高い場合や、遺言者の意向を反映させたい上記のような場合に、遺言する必要があるのです。
上述のとおり「死人に口なし」であることから、遺言はキチンと方式を守らなければ無効です。
基本的に以下の3種類があります。
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公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場で行う遺言で、①証人2人以上が必要(但し、公証役場で紹介してもらえます)②費用がかかる とのデメリットがある一方、①公証人が関与するため紛争が極めて生じにくい②原本は公証役場で保存するため紛失・改ざんのおそれがない③家庭裁判所でのいわゆる検認手続不要 とのメリットがあります。
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自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、その名の通り自筆でのこす遺言です。
メリット・デメリットは上述した公正証書遺言と真逆になります。 -
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言書を封筒に入れ、内容を秘密にした上で公証役場で行う遺言です。
内容を秘密にできる とのメリットがある一方、公証人が内容確認できないので、いざ開封してみたら無効だった とのデメリットがあります
結局のところ…
3種類の遺言にはそれぞれ一長一短がありますが、私は何といっても公正証書遺言をオススメします。
なぜなら、そもそも遺言の目的は「争族」防止・遺言者の意向反映の点にあるのであり、多少費用をかけてでも安全・安心を選ぶべきだと考えるからです。
遺言書は何度でも書き換え可能です。
人生一寸先は闇、そのうち…ではなく、元気なうちにしたためてはいかがでしょうか?